481948 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

yuuの一人芝居

yuuの一人芝居

「小町」創作ノート

小町がだんだん形になっていく。小町の姿が見えてきた。顔かたち、瞳の大きさ、鼻の高さ、朱唇、腰に垂れる豊穣な黒髪などがだんだん見えてきた。こうなればこっちのもの90パーセントが出来たようなものです。
 才色兼備の美人であった。が謎が多しぎる。文徳天皇の皇太子惟仁と惟喬太子との確執に、藤原家と紀家の争いに・・・詰まり政変に巻き込まれた形跡が見てきた。
 小野家と文徳帝の中宮紀静子の第一太子惟喬との関係、文徳帝と藤原明子の子惟仁皇太子後の清和天皇、この図形になにやら謎が隠されていそである。
 小野滝雄には二人の女の子があった。姉は仁明天皇の更衣であった。が、妹は姉を大町というので妹を小町とあだ名したとしたら・・・。そして、なぜに六歌仙となったか・・・。政変に巻き込まれ不遇の死・・・。そして歌の神へと立てまつわれたのか・・・。



小町はどうしたら私に靡いてくれるでしょうか。後姿を私に向けてたたずみ知らぬ顔なのです。栗色の畳まで垂れる髪が十二単のあでやかな絵柄の模様に幾つもの筋を作りより鮮明に上着を引き立たせています。襟足の少し日に焼けたような肌は欲情をそそります。
 小町、私の考えている小町は間違っているのでしょうか。それで怒っているのでしょうか。振り返らない小町はまたいとおしくもあります。
 明日また逢いに来ます、どうかそのときは笑顔逢ってくださいね。

 会いたくて後姿の小町をば こえかけみればこだま返らず



小町はだんだんと振り返ってくれていますが、あと少しはっきりと振り返って笑って欲しいですね。
 小町は百夜通いが必要なのでしょうか。焦がれる思いを文に認め月の満ち引きを三度繰り返しようやく振り返ってくれるのでしょうか。俗説には毒されません、あなたの心を知っていますので。
 あなたは更衣だったのですか・・・。めのとだったのですか・・・。子をなしておられるのでおぼこではなかった筈ですね。
 正義を愛し一途にに生きたそんな人だったのですね。
 またお目にかかります。その時は・・・。

 振り返り笑って欲しい君の顔
            何時来る日かな後幾日か



小町と今日も会えませんでした。
 ぞうしめに文をことづけたのですが返事がありません。後姿が似合う小町ですが時には顔を見せてくださいませんか。
 何とか二三日で書き上げたいと思っています。それまでにどうか振り向いてください。
 琵琶湖の風に当たりながら机上の紙に歌を認めるそんな姿を想像しては心ときめかしています。十二単の前を持ち上げて楚楚と歩む姿はなんと言う美しい出で立ちでしょうか・・・。あこがれます。
 ところで小町はお子さんがおられましたね。ご結婚をされていたのでしょうか。それともててなし子であったのでしょうか。こんなことをきくと気を悪くされますか。
 仁明帝の更衣であったというのは本当ですか。惟喬親王の乳母であったというのは事実ですか。
 そして惟仁皇太子との抗争に巻き込まれたのでしょうか。
 六歌仙とは紀貫之が小町を嘆き神に祭ったのでしょうか。そのほかの六歌仙もそうであったのでしょうか。
 抗争で身を引かれてどこでお暮らしになられていたのでしょうか。小野の庄へ帰ると一族に刃がかかる、出羽にお暮らしであったのですか。それとも誰かに殺められたのですか。



小町ちの一つ一つの風景は動作は明確になりつつあるのです。
 琵琶湖の畔の風景の中の小町、御所の更衣としての立ち振る舞い、ささやかではあるが幸せな日々、乳母としての小町の姿、京の町を後ろに立ち去っていく後姿、それらがすべて重なって頭の中に広がっていくのです。
 あの時代美しいとは何を定義にしていったのか・・・。
 髪か、顔か、または心か、歌が上手であったことか・・・。
 東山を眺めて何を思ったのだろうか、西に沈む夕日に何を感じたのか、心に何を抱えていたのか、女として幸せであったのか、また人間としての観念は、季節への思いは・・・。



小町は今日も私の前に現れなかった。
 書くことを忘れているのではありません。諦めているのでもありません。
 ただ小町が書いて欲しいと訴えて来ないのです。
 頭の中に小町が現れ書くことを強要してくればいいのですが。小町が喉まで上がってこないのです。

 浮かんでと願いを掛けて思うけど
            小町の姿心の中に



小町への恋の病なのでしょうか・・・。小町の呪いなのでしょうか・・・。決して小町を悪く書こうとか辱めようとか、そんな気持ちはありませんのに・・・。静かに眠っているのに起こすなというのでしょうか・・・。世間に晒さないでというのでしょうか・・・。
 なんだか分かるような気がしますが、美しい人はとかくなんやかやといわれるものなのです。
 小町さん、あなたは本当に美しかったのですか・・・。美しさにも色々とありますが・・・。
 私はあなたを少し浅黒い肌の持ち主で、髪はカラスの濡れ羽色ではなく少し栗色の長い髪だったと思っています。健康な女だったとおもっています。 色の白い女の中で色黒だけれど健康的な美を持っていた。髪は栗色、皆から色々と噂をされたことでしょうね。そんな人であって欲しいと思っています。歌はあまり上手ではありませんが、素直に心を語っておられますね。
 素直な人であったのですね。
 振り向いてください。せめて少しのときでいいのです。それで心が晴れるのですから。

 小町をば心において見渡せば
            いずこの人も色褪せて見え



小町のことを考えました。
 美しいと言われたのは皆とどこか違っていたのではないだろうか・・・。
 人格的にでなく外見的に・・・。
 それと不幸に死が紀貫之に何かを感じ取らせたのではないか・・・。

 今はなき小町を訪ねはるばると
             時をまたいで遠いたてる



小町の後ろ影は創作意欲をそそります。何を見ているのでしょうか。何をしょうとしているのでしょうか。
 声をかけてもいいですか・・・。なんと言えばいいでしょう・・・。
 お名前は・・・。
 あなたの名前はどこを探しても見当たりません。お姉さまの名前は吉子さんということはわかりましたが、あなたの名前は皆目分かりません。
 人はあなたをなんと呼び、どのように接していたのでしょうか。
 どなたと一緒になられ子をなしたのでしょうか・・・。分かりません。
 そして、乳母となって誰に惟喬親王へ乳を授けられたのでしょうか・・・。

 女とは愛する人に思われて
子をなし育て明日をながむる


小町は今日も振り返らず。進展はないのです。
 もっともっと惚れなくては・・・。愛さなくては・・・。
 きっかけが欲しいのです。
 たとえば、小町は蜂蜜を飼っていたというような思い付きが欲しいのです。何か人と違ったことが嘘でもいい頭に浮かんでくればこっちのものなのです。欲しいねそんな思いが・・・。

 人の世の限りの後に何がある
           愛したことの足跡一つ



小町が何か言ってくれると思い待っています。
 平安の初期はこうなのよとか、人の心はこうなのよとか、天災が、人災が、暑いのの寒いの、長い髪はこのように手入れをするのよ、風呂はどのようにしていたとか、トイレはどうだったとか、食事は何を食べていたとか、季節は冬が好きだったとか、十二単は重かったとか、何を足に履いていたとか、色は何が好きだったとか、館はどうだったとか、・・・・。
 何も知らないのです。
 振り向いて教えてください。囁いてください、私の耳に・・・。

 振り返り口を開いて語ってよ
            あれこれ何を心のすべて



小町も早かったのでしょうか・・・。いろいろとあなたの付いては考えています。あなたへの思いは静まりだんだんと醗酵してきています。夏が過ぎ、秋が来て、そろそろとあなたのすべてを明らかにしなくてはいけない時期が来ているようです。 
 愛するという心を貴方に知っていただくために・・・。
 もうすぐ、書き上げますからね。それで同等ということなのですね。

 夏が過ぎ秋が通り過ぎ冬が来る
           そこに広がるおなたの真実



小町さん、そんな人がいましたか・・・。平安の世は過ごしやすかったですか・・・。皆優しくしてくださいましたか・・・。仲良く話が出来ましたか・・・。食事をしながら男の話に時間を忘れましたか・・・。世の中を憂いましたか・・・。
 
 過ぎ去りし思いを浮かべ懐かしみ
            明日の生き方月に問いつつ


何もしなく生きているけれど、ボーとして生きているけれど、頭は小町の書き方を常に頭に置き働いている。
 そんな日々が何日も続いているのです。心の中で小町が醗酵するのを待っているのです。辛い日々ですが、早く書いて失敗をしたくないのです。
 この作品は流れで仕上げるものではないのです。じっくりとこの作品に賭けています。
 小町を裸にするまでは・・・。

 小町殿あなたは今日はどこですか
              私の心空においても



小町さんも何を食べても美味しかったですか・・・。
 季節はどうだったのですか・・・。
 春が、夏が、秋が、冬が、そのそれぞれのときに何をして生きていたのでしょうか・・・。
 何かいいことがありましたか・・・
 煩わしい事がありましたか・・・。
 人を愛したことがおありでしょうか・・・。 
 愛されたことがおありでしょうか・・・。
 身を焦がしたことは・・・。
 思いに夜も眠れなかったことは・・・。
 人知れず泣いたことは・・・。
 人とはなんと悲しいのでしょう・・・。そう思われましたか・・・。
 人とはなんと素晴らしいと・・・。

 小町ゆえ心を告げることさえも
            月に花にとこぼすなみだは



小町さん、琵琶湖の夕焼けは綺麗だったでしょうね。どんな心で見つめられたのでしょうか・・・。
 もうそろそろ書き上げなくてはなりませんね。
 待たしているのですものね。 
 頭の中には出来上がっているのです。
 後は書くだけてすから・・・。
  
 書きかけの小町の姿艶やかで
            目をも張っては心熱くし


小町は何を食べていたのでしょうか・・・。どんな花が好きであったのでしょうか・・・。どんな夢を見たのでしょうか・・・。定めに従ったのでしょうか・・・。あがなったのでしょうか・・・。いい人生であったのでしょうか・・・。
 あなたの姿が見えません。

 振り向かぬ君の微笑み欲しくても
              時来るまでは月待つことも



小町さん、お元気ですか・・・。風邪など惹かれてはいませんか・・・。
 萩の花は綺麗ですか・・・。琵琶湖畔に何が咲き乱れていますか・・・。 風が立って波が寄せていますか・・・。夕日の色は何色ですか・・・。
 やわらかい月の明かりの下を帆を立て琵琶湖を渡る小船が見えますか・・・。
 遠くにかすかに煙が立ち昇りささやかな幸せの夕餉の有様が伺えますか・・・。
 紅く染まった夕日の中を家路へ急ぐ雁たちの渡る姿が見えますか・・・。
 時には出羽の真っ白な大地をしのび心躍らせますか・・・。
 都大路の人ごみの中を歩いたことがありますか・・。

 残り香に心振るわせ立ち尽くす
             風立つ庭に月は遠のく



 小町さん雨に日は何をしていたのでしょうか・・・。
 風の日は何を・・・。
 風邪などひきませんでしたか・・・。
 おなかいっぱいにしょくしておられましたか・・・。
 人の噂をしておられましたか・・・。

 人としてなにを語らんこの夕べ
            頬赤らめて風に当たるか



今日も小町の姿にお目にかかれなかった。 月が隠したのでしょうか・・・。 小町は琵琶湖の畔の館の庭からこの満月を眺めたのでしょうか・・・。  月は湖畔の水面に映っていたのでしょうか・・・。 月見の宴が開かれ煌びやかに着飾った公卿たちが集まりお神酒に酔いしれて歌い踊っていたのでしょうか・・・。 そのとき小町はどこにいたのでしょうか・・・。 すすきに団子を備えて月見の宴を・・・。 小町さん和歌を歌いましたか・・・。 どのような和歌でしょうか・・・。 そのとき、どのような筋模様の十二単を着ていたのでしょうか・・・。 年月にどれほどの宴があったのですか・・・。  月観れば思い出しますあの頃を        水面にあった琵琶湖の月を  秋の月はしみじみ過ごすひと時を・・・。


小町は今日も振り向いてくれない。 呪いをかけたとして殺されたのですか・・・。 三島の「卒塔婆小町」になったのですか・・・。 出羽で生まれどこでなくなったのですか・・・。 乳は良く出たのでしょうね、乳母であったのです・・・。  たらちねの思い深めて思う人            あの懐かしき小野小町を  秋の櫻がもう野原いっぱいに開き誇っています・・・



小町は時の天皇に呪いをかけたのでしょうか・・・。 正義を貫こうとしての行動であったのでしょうか・・・。 「源氏物語」のモデルとなった在原の業平と小町はどのように接していたのでしょうか・・・。 本当は吉子さんなのですか・・・。 それとも吉子さんは小町の姉なのですか・・・。 仁明天皇の更衣であったのでしょうか・・・。 どんな女性であったのですか・・・。 私が想像していることは間違っていますか・・・。 どのように書けば貴方は嬉しいのでしょうか・・・。 出羽に帰られたのですか・・・。生まれ在所へ・・・。 通い婚の男はなんと言う人なのですか・・・。 愛されていましたか・・・。愛していましたか・・・。 どのような出会いがあったのですか・・・。  あの夜の出会いの末に招きいれ             月が隠れて朝焼けを見る  秋の風は本当に怖いもの、月を隠して風強・・・。


そんな中、小町を訪ねて彷徨っています。

 私が小町を明らかにすることが許されるだろうか・・・。

 あまりにも大きな人のように思われるのです。

 世界三大美人、百夜通い、深草の少将、在原の業平、仁明天皇、惟喬親王

 紀貫之、沢山の人が出てくるのです。平安の初期の、「源氏物語」より以前の人の世のことなのです。100年前のことなのです。紫式部は小町を書いていないのです。

 紀貫之がどうして小町を歌聖として六歌仙に推奨したのか・・・。

 そこに謎があるのですか・・・。

 たとえば祟りを恐れたと言うような・・・。

 中流の公卿の娘が更衣として天皇のおそばへ・・・。

 それほど美しかったのですか・・・。

 どのように・・・。

 たとえば・・・。

 夢で耳元に囁いてください・・・。



 夢を見て貴方のことを思うけど

            月が昇れば泡沫の夢






© Rakuten Group, Inc.